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「本格的な家づくりができる作り手を探しているお施主様に、
どうやったらもっと地元工務店を認知してもらえるかなと考えたんです」(川岸)
--青葉台工務店 立ち上げの経緯
川岸憲一(桃山建設):私たち桃山建設は、世田谷を中心に東京で家づくりを60年以上やってきました。
2015年に。私が生まれ育った青葉台で地域に根ざした住まいを中心とした情報発信基地として「BADAI BASE(桃山建設ショールーム)」を立ち上げて、青葉台を拠点として地域に雰囲気のある住まいを提供したいと思いやってきましたが、地域の住まいを中小企業1社で変える限界もあると思っていました。
多くのお施主様が知名度の高いハウスメーカーに相談をして家を建てるわけですけど、そういった方々が家を建てた後に内覧会に来て私たちの仕事を見て「もう少し早く出会えていたら…」と言っていただくことが本当に多いんですよ。でも当然のことながら、建ててしまった後ではどうしようもないんですよね。 なので、本格的な家づくりができる作り手を探しているお施主様に、どうやったらもっと地元工務店を認知してもらえるかなと考えたんです。
川岸 憲一(桃山建設)
BADAI BASEをオープンさせてから1年くらいそのことを考えていて、その頃、黒羽さん(竹駒)と出会ったんです。
「あぁ、地元にこんな良い仕事する工務店があったんだ!」って思ったんですよ。元井さん(古今)とも同じ頃に知り合って、また良い家を建てているんですよ。 大澤さん(富士ソーラーハウス)とは既に面識があって、地域活動も積極的にやっていて情報発信力もすごいんですよ。それで漠然とこういう良い家づくりをしている地元工務店と何か一緒にできないかなぁって思い始めたんです。
一番良いカタチは何だろうって色々考えました。最初は青葉台の全部の工務店を集めようなんて思ったりもしました。
最終的に同じ方向性でやっていけるこの4社で、一般社団法人というかたちでスタートして正解だったと感じています。
--立ち上げの話を聞いた時にどのように感じましたか
黒羽啓太郎(竹駒工務店):私も昔から仲間の工務店と一緒に何かやりたいとずっと思っていたので、お話をいただいた時は是非やりたいと。
川岸:即答でしたよね。 すごく嬉しかったです! 黒羽さんと「大澤さんどうしたら参加してくれるかなぁ〜、作戦立てようって」(笑)
黒羽:絶対巻き込もうって言ってました(笑)
大澤正美(富士ソーラーハウス):私はこれまでにも神奈川県東部の工務店ネットワークで一緒に勉強会などを行っています。だからそういうものには免疫があったというか、加えて最近は商店街活動も増えていて、特にこの青葉台という地域にスポットを当てるものに関しては積極的に取り組もうという状態でしたので、話をもらった時は是非やろうという感じでしたけどね。
-- 元井さんもすぐに参加されたんですか?
元井史朗(古今):私は結構悩んだんですよ。こういう組合みたいなものって、前の会社でもたくさん入っていて、最初は良いんですけどそのうちだんだんとお互いの考えが合わなくなってきて、解散という言葉もなく自然消滅ということがほとんどなんです。
私はそういうのが大嫌いで、川岸さんから声かけていただいた時も一度考えさせて欲しいと言ったんですね。その人をよく知らないと一緒にやりたくなくて…。こう見えてこだわり強いタイプなんです(笑)。
だけど、初めて4人で集まって色々話した時に「あ、このメンバーならイケるかも」って直感的に思ったんです。
黒羽 啓太郎(竹駒工務店)
左:大澤 正美(富士ソーラーハウス)
右:元井 史朗(古今)
「我々を突き動かしているのは、町をこのまま終わらせたくないという
危機感や使命感だと思っています」(大澤)
-- 4社で組むことの意義とは
大澤:同一の駅を利用する言わばライバル同士の工務店が集まるというのは本当に画期的なことだし、それで存在を知られるようになればそれ自体が広告なんですよね。大手ハウスメーカーは圧倒的な広告費用をかけている。それに対抗するためには、この4社が協働しながら話題を作り、また協賛企業様の支援をいただいて大手と遜色のない宣伝をして、まずは存在を知ってもらうこと。そしてご発注いただければハウスメーカーの家ではなく工務店が建てた家ですから、それは町にふさわしい木のぬくもりのある家であり、そういう町のことも考えられた家が増えて行けば結果的に青葉台の町なみを良くすることができる。そういう所を理想として掲げています。
町の将来のことを考えた時、人口が減って町が縮退していくという現状にあって、青葉台も経済アナリストによれば将来はデッドラインを超えていると、田園都市線沿線はあざみ野までだと言われているんですけど、その中でも青葉台は特別な町だと言われるには今準備しておかなければいけなくて、そのベースとなる団体として青葉台工務店というのは非常に相応しい団体なんじゃないかと思っています。
我々を突き動かしているのは、町をこのまま終わらせたくないという危機感や使命感だと思っています。
--青葉台周辺地域に住みたいと思っている人たちにとってのメリットは何ですか
また、コンセプトとして掲げている「住まいづくりを通じて、町なみを美しくする」とは具体的にどのようなことでしょうか
黒羽:すぐ近くにいる地元の工務店ですから、建てた人間がそばにいるので何十年先のメンテナンスも心配がないということ。私たちは4社の集まりなので、いざという時にすぐにフォローできる。完成保証制度もその一つです。より安心してオーダーいただけると思います。
そして当然ハウスメーカーで作るよりも良い家を作るという自負はありますから、工務店でしか建てることができない家の良さを感じていただけると思います。
元井:家づくりってすごく個人的なことなんだけど、その一方ですごく社会的な存在価値があって、私たちが目指している原風景がたちばな台にある「小井田通り(下記参照)」という所なんですけど、普通、家を建てる時に外からの見え方、見られ方まで意識して家の設計をするお施主様はまずいないし難しくてそこまでできないと思うんですよ。そこを我々が上手に設計して外から見られても“絵になる家”にして差し上げる。そういう家が増えて行けば、少しずつですが景観の良い雰囲気のある町なみになって行きますし、住んでいる方たちの満足感も高まって、ここに住みたいと町自体が盛り上がってくると思います。
「小井田通り」
青葉台駅から車で数分、たちばな台にある建築家・小井田康和氏が設計した、自然素材のぬくもりを大事にした風情のある家が通り沿い7件建っている。
その景観が建築ファンや地元民に愛され、通称 小井田通りと呼ばれるようになる。
川岸もそのうちの1軒を購入しリノベーションして住んでいる。
大澤:やはりハウスメーカーが作る家というのは、家としての基準を満たしてはいるけど、その敷地を柵で囲って箱を作るところで終わってしまうんですよね。そこに連続性はなくて、工場で作って来たものを持ってきてポンと置いたような感じになってしまう。
我々は周りの環境に馴染むということを大前提として、まるでその土地からキノコみたいに生えてきたような家を作っていると思うんですよ。
本来そういう家づくりをするのが正しいんですけど、そういう考え方自体があまり知られていない。キッチンメーカーが作ってきたキッチンを“選ぶ”ことが家づくりの楽しみであるかのように錯覚させられてしまっているのが今の状況であって、本来あるべき家づくりに導いてあげることで、この町に暮らす人がより自分らしい毎日を送ることができるができるし、そういう人が増えていけばそこは幸せな町ということになるし、意識の高い人たちが集まってきて、例えば「芸術の町」みたいに何か青葉台らしさを生む原動力になるのではないかと思っています。
--どのような方に利用してほしいか
大澤:私はこの町で生まれて、今もこの町で仕事をして暮らしているんですけど、ある程度の歳になると自分の暮らしている町が面白いかというのが重要なファクターになると思っていて、実際、今青葉台は面白くなって来てるという実感があるんですよ。
人のつながりがとても豊かになっていて新しい交流が増えてきて、行政の力を借りずに自分たちで祭を作ろうとかそういう気概や行動が積み重なってきているんですね。それが強固な絆となってまた新たな面白いものが生まれたりという連鎖が起こっている。
また町のそこここで、地元の知り合い同士が挨拶を交わして声を掛け合っているのを最近よく見かけるんです。私が仕事を始めた頃はあまり見なかった光景です。いい時代になってきたなと。でもそれは自然になったわけではなくて、意識的にそうしようとしている人たちの強い気持ちによってそうなってきたんです。私たちもそういう人たちのための家を作ることによって、より良い町になっていくお手伝いができると思うんですね。青葉台がもっといい町になって欲しいと思っている人、この町で暮らすことが楽しいと思っている人にこそ力になれると思っています。
川岸:いくら生まれ育った町でも知った顔がいなければ地元には何も感じないし、逆に引っ越して来た人でも、町やお店で挨拶かわすような知り合いが増えてくれば、「自分もこの町の人間になってきたなあ」というある種の地元感というか町への愛着みたいなものも出てきますし、そういう人と人とのつながりが町をステキにするはずだし、人と人が積極的につながろうという時代のなかで、青葉台は色々と活発な活動が行われています。
もちろん青葉台だけではなく他でも町を盛り上げるために本当に色々頑張ってますよね。そうやって誰かが町を育てていかないといけないんだと思います。私たちがその一役を担えれば最高ですよね。家づくりの観点から青葉台の町を美しくしようと。町の良い所を作ろうという努力が町を育てると思うんですよね。
--最後にひとこと
黒羽:これを一時の思いつきで終わらせないで、長く続けて実のあるものにしたいなと思います。
元井:まず実績をしっかりと作り地域の信頼を得ることそれが大事だと思ってます。
大澤:他の皆と同じで、お祭り騒ぎをするために集まったわけではないし、新しい営業チャンネルを持ったわけなので、協賛いただいている企業様にも発注というかたちでお返しするというのが一つの使命だと思っているので結果にこだわってしっかりやっていきたいですね。
川岸:この4人でスタートできたというのが本当良かったと思っていて、絶対素敵なものになると思うんですよ。まだスタートしたばかりですからこれから活動を頑張っていきます。
<了>
2017年10月13日 青葉台工務店設立記念パーティーにて
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